ゴキブリ

ゴキブリ
ゴキブリは生きた化石

松野町夫 (翻訳家)

日本語大辞典ではゴキブリを次のように説明している。

ごきぶり
ゴキブリ目の昆虫の総称。大部分が野外種。屋内性のものは雑食性で、繁殖力が強い。世界に約4000種、日本にはチャバネゴキブリ・クロゴキブリなど約40種がいる。アブラムシ。cockroach
(以上、引用終わり)

ゴキブリには、さまざまな呼び名がある。あくたむし、つのむし、油虫、ゴキカブリ、ゴキカジリ、アマメ、…
私の田舎では以前、アマメと呼んでいた。ちなみに現在の「ゴキブリ」の名は、明治時代の昆虫学者・松村松年が《日本昆虫学》(1898)でゴキカブリをゴキブリと誤記したことに端を発しているという。

英語ではゴキブリをコックローチ(cockroach)、または短縮して単に、ローチ(roach)という。これはスペイン語のクカラチャ (cucaracha)が語源。黒いカブトムシ(black beetle)ということもある。
チャバネゴキブリ(黄褐色の小形のゴキブリ)は、German cockroach, or Croton bug。

ゴキブリは世界中どこにでもいる。東京では体長30mmほどの黒褐色のクロゴキブリを一番多く見かけた。台所の流しによく出没する。三角コーナーの残飯が目当てである。人気のない深夜、親子連れの大家族で群がる。はえたたきを手に忍び足で近寄るが、身の危険をいちはやく察知する能力があるのか、すぐに逃げられてしまう。壁の縁に沿ってすばやく移動するので、はえたたきも威力を発揮できない。ガスレンジや冷蔵庫の下に逃げられたら、もうどうしようもない。

たまに水攻めで成功することがある。蛇口を開けて、流しにいるゴキブリを排水口のトラップに流し込み、数分間水攻めにし、ぐったりしたのを見届けてから寝床に入るが、翌朝、トラップの中を確認すると、死んだはずのゴキブリが一匹もいない。すごい! あの弱った身体でトラップを脱出したとは。

東京のクロゴキブリは確実に進化している。動作が機敏で、逃げ方も一直線ではなく、ここと思えば またあちら ツバメのような早業なので仕留めるのがむずかしい。市販の殺虫剤やゴキブリ捕獲器で何度かトライしてみたが、ほとんど役に立たない。なかには空中を飛翔するものもいる。こちらの顔に向かって飛んで来たりするので、反撃に転じたのかしらんと一瞬おじけづく。

私たちは一年ほど前に、東京から故郷の鹿児島に引っ越した。マンションの4階の一室。当初、ゴキブリを見かけたことはなかった。「へーえ、めずらしいね。ここにはゴキブリは一匹もいない」と夫婦して喜んだ。しかし、それはぬか喜びに過ぎなかった。3ヶ月ほど経過したある夜、妻が流しに異様な虫を発見して「きゃあ!」と奇声をあげた。私も急いで流しに行くと、白い色の昆虫が一匹、流しの中を這い回っていた。体長20mmほど。ゴキブリのようだが、それまで白いゴキブリなど見たことがない。突然変異の新型ゴキブリ?あるいは、脱皮直後のクロゴキブリの成虫だったのかも知れない。
http://homepage2.nifty.com/maruiyakuhin/gok_kro01.html

これをきっかけに、その後次第に、黒っぽいゴキブリをちらほらと見かけるようになっていった。流しや洗面台、浴室の周辺を歩き回る。わが家のゴキブリは成虫で体長10mmほど、子供は1ミリ~2ミリほどと極端に小さい。チャバネゴキブリと思うが自信はない。東京のクロゴキブリとちがって、このゴキブリは小型で動作が比較的単純なので、濡れタオルで簡単に押しつぶすことができる。

ゴキブリは生きた化石(living fossil)。約3億年前の古生代石炭紀から生存しているという。人類の起源はせいぜい400万年前というから、いわば私たち生命体の大先輩にあたる。恐竜は絶滅したが、ゴキブリはさまざまな厳しい環境に適応して今日まで生きながらえてきていることになる。その生命力には敵ながら感動する。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

ゆうくん
2012年07月22日 11:03
ゴキブリってどこにもいるけれど、なかには飛翔するゴキブリもいて、僕はとっても驚いたトレードマーク溿
小心者
2012年07月27日 22:33
ゴキやだ~ さっき晩飯食べてたらいきなりテーブル上に出現。まるで「いやいやドーモドーモ」と言ってるが如く、テーブルを横断しあっという間に姿を消した。

この記事へのトラックバック